販促は効果検証が必須!販促の効果測定に役立つ9つの指標

販促では、数値で測れる定量データを活用します。
販促でよく使う9つの数値をみていきましょう。

反応数

反応数は、購入・来店(再来店)・問い合わせ・資料請求の申し込みなど、お客さんから何かしらの反応があった件数を指します。
データとして活用するために、件数をカウントできる状態にしておきましょう。

反応率

反応率は、反響率やレスポンス率と呼ぶこともあります。
総数に対して何かしらの反応があった割合のことです。
たとえば、チラシを50,000件に配って、実際の来店数(反応数)が500人だった場合、反応率は1%です。

500人(反応数)÷50,000件(総数)×100=1%(反応率)

コンバージョン率(CV率)

コンバージョン率(CV率)は、設定した目標に至った割合をいいます。
目標達成率と呼ぶこともあります。

一般的にはコンバージョン数を総数で割って算出します。

たとえば、目標を購入件数にしている場合を見てみます。
来店数500件に対して購入件数(CV数)が5件だった場合、目標達成率は1%です。

5件(CV数)÷500件(総数)×100=1%(CV率)

CPR(Cost Per Response)

CPRとは、販促をして1件の反応を得るのにかかったコストのことです。
(反応とは、購入・来店・問い合わせなど、お客さんからの何かしらの反応のことです。)

販促にかかったコストを反応数で割って算出します。
たとえば、5,000人の来店数を得るのに100万円の費用がかかった場合、CPRは200円です。

1,000,000円(販促コスト)÷5,000件(反応数)=200円(CPR)

CPRの数値は低くなるほど費用対効果が高いと言えます。

CPO(Cost Per Order)

CPOとは、コンバージョン(目標達成)1件あたりの獲得にかかったコストのことです。

販促にかかったコストをコンバージョン数で割って算出します。
たとえば、500件の購入を得るのに100万円の費用がかかった場合、CPOは2,000円です。

1,000,000円(販促コスト)÷500件(CV数)=2,000円(CPO)

CPOの数値は低くなるほど費用対効果が高いと言えます。

損益分岐点(BEP : Break Even Point)

損益分岐点とは、費用を収益でカバーでき、損益が「0」になってこれ以降は利益が出るという売上高のことです。
今行っている販促をこのまま続けるかどうか判断するための指標になります。

販促費における損益分岐点は、CPRやCPOの指標において、いくらで赤字になるのか・黒字になるのかを算出しておくとよいです。

以下のリンクは、販促の損益分岐点を出せるシミュレーターです。
販促コストと必要な反応率、損益分岐点はいくらか簡単に出せます。
▶販促効果の予測のための損益分岐点の把握

LTV(Life Time Value)

LTV(Life Time Value:ライフタイムバリュー)とは、お客さんひとりあたりから今後トータルいくらの利益が得られるか算出した数値です。
顧客生涯価値ともいいます。

  • LTV=平均購買単価×粗利率×購買頻度×継続購買期間

一般的に上の式で計算します。
しかし「継続購買期間(ニーズがつづくと思われる期間)」の予測値を出すのが難しいので、通常は1年で計算することが多いです。
LTVは他にも以下のような計算式を用いて算出することができます。

  • LTV = 顧客の年間取引額 × 収益率 × 顧客の継続年数
  • LTV = 顧客の平均購入単価 × 平均購入回数
  • LTV = (売上高 - 売上原価) ÷ 購入者数

簡単に言うと、LTVは1年間の利益を購入者数で割ればいいのです。
たとえば粗利が1万円の商品があったとして、1年間に6人が1回・3人が2回・1人が3回買ってくれたとします。
すると、LTVは1.5万円となります。

LTVのイメージ

15万円(粗利(売上高 - 売上原価))÷10人(購入者数)=1.5万円(LTV)

ROAS(Return On Advertising Spend)

ROAS(ロアス)とは、販促コストに対してどれぐらいの売上を取れたかの割合です。
売上を販促コストで割って計算します。
たとえば、100万円の売上を得るのに、25万円のコストがかかった場合、ROASは400%です。

100万円(売上)÷25万円(販促コスト)×100=400%(ROAS)

ROASの数値は高くなるほど費用対効果が高いと言えます。

ROI(投資対効果:Return On Investment)

ROIは、販促コストに対してどれぐらいの利益を生んでいるかを評価する指標です。
この指標を用いることで、CPRやCPOの効果が妥当かどうかを合わせて確認します。

ROI(%)=利益÷販促コスト×100

一般的に上の式で計算します。
利益は以下のように、売上から売上原価と諸経費を引いておくようにしてください。

利益=売上-売上原価-諸経費

たとえば、売上が150万円、売上原価が60万円、諸経費が15万円、販促コストが25万円だった場合、ROIは300%です。

STEP1:利益を算出
150万円(売上)-60万円(売上原価)-15万円(諸経費)=75万円(利益)

STEP2:ROI(投資対効果)を算出
75万円(利益)÷25万円(販促コスト)×100=300%(ROI)

※ ROIは、販促コストに対する利益を単純に計算したものです
なので、長い期間をかけて利益につながる可能性がある場合は反映できません。
長い期間での費用対効果を見る場合には、LTV(ライフタイムバリュー)の指標を使うことになります。




販促では、以上のような数値が出せるようになってはじめて分析ができ、次への改善につなげられます。
販促は実施だけではなく、分析・次への改善という一連の流れ(PDCA)が非常に重要なので意識しておいてください。

定量・定性どちらのデータを重視する?販促の効果を判定する方法

販促効果測定は、販促キャンペーンの目標達成度を知るために実施します。
販促効果は、主に売上効果とコミュニケーション効果の2つの面から判定できます。

売上効果

売上効果の測定は、販促によって実際にどれだけ売れたのかを見るものです。
販促キャンペーンなどで、特定の商品を販売していた場合は効果判定がしやすく、対象商品の売上がそのまま販促効果といえます。
しかし、複数の施策や媒体で同時に販促をしていた場合、何の取り組みが売上に影響したのかわかりづらいこともあるでしょう。
この場合は、販促キャンペーンをした時期としていない時期を比較して、キャンペーン期間で増えた売上や客数などをみて判断することが多くなります。

売上効果を測るときには、以下の定量的な数値を活用することが多いです。

  • 売上・利益
  • 売上・利益の伸び率
  • 売上・利益の前年同月比
  • ROAS
  • ROI

売上の実績を見るのはもちろんですが、利益なども見て現在取り組んでいる販促活動の妥当性を確認することも大事です。

コミュニケーション効果

コミュニケーション効果測定は、顧客の心の動きを測定する方法です。
認知度や好感度といった、定性的なデータで測ります。
コミュニケーション効果を知ることによって、今後の販促活動の可能性を確認します。

認知度・好感度を測るには、街頭調査やインターネット調査が必要です。
(調査機関を使うことも可能です。)
調査するときには、競合他社のことも一緒に尋ねるようにして、中立的な立場で聞き取りを行ってください。

調査は、継続的に実施することが理想です。
販促の前後を比較したときに、認知度・好感度がどの程度変化したか時点ごとに観察してください。
継続することで、1回目の調査では見えなかった課題が徐々に見えるようになります。

販促の効果を測定するときの注意点

販促の効果を測定するときには、次の点に注意してください。
以下の点に気を付けることで、効果測定の精度が高まります。

■販促実施前に気を付けるポイント
  • どの数値を計測すればよいか把握できているか(その数値で販促の結果を判断できるか)?
  • 数値が取得できるようになっているか?
  • 販促の前と後で数値が比較できるようになっているか?
  • 反応数をカウントするときには、カウント対象を適切に設定しているか(対象者や商品など)?
  • 反応数をカウントする期間を適切に設定しているか?
■販促企画時・計測時に見るポイント
  • 売上だけでなく、利益も見ているか?
  • 広告・制作費だけでなく、人件費なども認識できているか?
  • 全体でどうだったかも見られているか(部分的な評価ではなく全体の評価)?

上記を踏まえた上で、さらに次の施策に活かせられるかどうかといった点も計測時にみておくと良いです。
販促を実施して効果検証し、次に活かすという一連のサイクルがきちんとできれば、成功体験からも失敗体験からも学ぶことができます。
経験を積むほど成功の確率も上がり、会社独自のノウハウができ、財産となっていきます。
そのためにもPDCAサイクルを回していきましょう。